
現在、以下の日程にて講演会の実施を予定しております。
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Webマガジン
「風のタウマゼイン」
世界一幸福な国「デンマーク」
〜 サスティナブルアイランド・ロラン島ツアー 〜
作画:風見正三

創刊準備号
8 December,2017

「幸福度世界一」といわれるデンマーク。
見渡す限り田園風景の広がるロラン島は、その象徴ともいえます。
ガイア都市創造塾では、2017年9月24日から28日にかけて、「風見塾長と行く サスティナブルアイランド・ロラン島ツアー」を開催。
環境・教育・食育・農業と、さまざまな切り口から視察して来ました。
「風のタウマゼイン」では、ロランツアーの視察内容を、今後、定期的にお伝えしていきますが、今回の創刊準備号では、5日間のツアーの模様をダイジェスト版でお届けいたします。
● ロラン島・報告会 ( 2018年1月21日(日)決定! )
● ” 第2期 ロラン島ツアー( 2018年8月24〜30日決定! ) ”
ーー 詳細は次号( 2018年1月8日)で!!ーー
製作;ロラン島スタディツアー特別タスクフォースチーム
多様なメンバーが集まるスタディツアー
ロラン島はデンマークの首都コペンハーゲンから南に約150km、バルト海の西端に位置し、自然エネルギーによる自給率600%の島です。
今回のツアーに参加したのは、ガイア都市創造塾の第1期生をはじめとする18人。年齢、経歴、生活背景は多岐にわたり、中には小学生のお子さまを含めた家族連れで参加された方や、ニューヨークから参加してくださった方もいらっしゃいました。

つながりのきっかけは東日本大震災
デンマークは、東北大学の震災支援チームの紹介で東日本大震災直後から、駐日大使が幾度となく宮城県東松島市を訪れ、復興協力を表明して行動を起こしました。フレデリック皇太子は、震災からわずか3カ月後の6月に同市を慰問して、企業からの義援金を送っています。
一方、同市は復興事業の方向性を探る中、環境エネルギー事業へ転換して地域再生に成功したロラン市を知りました。ロラン市も東松島市からの視察団を受け入れるなど少しずつ交流が芽生え、復興プランにおける協力を話し合ってきたのです。
一方、もともと宮城県南三陸町や大崎市をはじめ、宮城県の地域再生に取り組まれていたガイア都市創造塾の風見正三塾長は、震災後、東松島市にある津波で大きな被害を受けた公立小学校の再建に関わることとなり、「森の小学校」(正式名称:東松島市立宮野森小学校)の基本構想・計画に携わっていました。

風見塾長が基本構想・基本計画に関わった宮野森小学校。地形を生かし、森と一体化した校舎は、まさに「森の学校」
「森のようちえん」の発祥の地であるロラン島と東松島とは交流があるという話が風見塾長の耳に届いたのも自然の流れでした。東松島市の方からの紹介で、デンマーク・ロラン島在住でジャーナリスト兼コーディネーターのニールセン北村朋子さんと、つながりを持つこととなったのです。

小学校におけるコミュニティデザインの取組 [東松島市立宮野森小学校] にて2017年度グッドデザイン賞を受賞した
塾との協働を展望した風見塾長は2016年9月、ロラン島を訪問し、この度のスタディツアーの下見をしました。
”今回の旅の目的はただの観光ではありません。ロラン島に住むニールセン北村朋子さんが橋渡し役となり、塾から世界を変える新しいビジネスを創出できればと考えているのです。持続可能な社会を構築して行くためのビジネスモデルを、一緒に考え実現させて行くための最初の一歩がこのツアーなのです。”
自主性を育む「森のようちえん」
到着した翌日からは、連日、充実した施設見学の連続となりました。

「森のようちえん」、発祥の地デンマーク。
園舎はなく、自然の風を感じ新鮮な空気を胸いっぱいに吸いながら、子どもたちは一日中森の中で過ごします。この取り組みは、デンマークのたった一人のお母さんが、自分の子どもと隣家の子どもを森の中で保育したのが始まりといわれています。
当ツアーでは、ロラン島に5つある「森のようちえん」の一つである「ミュアトゥーエン」(蟻塚という意味)を訪問しました。
森のようちえんで子どもたちは、皆、自分たちがやりたいことを選び、思い思い自由に遊んでいます。
ままごとをする子たち、ピーラーを使って木を削る子たち、木でできたブランコや藁と木でできた滑り台に夢中になる子たち・・・。

子どもたちは、時間に区切られることもなく、自分が好きな遊びに好きなだけ熱中することができるのです。
広い敷地に囲いはないのですが、誰一人として敷地から出るようなこともなく、自然に大人の目が届く範囲内で遊んでいました。

みんな揃ってお出迎え
自然の中で森の妖精のように自由に遊ぶ子どもたちの姿に、思わず、ツアー参加者たちも童心に帰って遊びました。そのひとときは、長いような短いような夢のような時間に。

ラウナ・ニールセン園長からのお話やツアー参加者との質疑応答から見えてきたのは、先生方と子どもたちとの深い「信頼関係」でした。
水たまりがあっても何も注意することなく自由にさせているのは、自分自身の経験から学ばせるため。「冷たい」という経験から、自分で水たまりに入らない方が良いのだと気づかせます。喧嘩が起きても、自分たちで解決させる。
森のようちえんでは、そんな子どもたちの自主性を育む方針が徹底されていました。

園長先生の笛に合わせて子どもたちから、歌の可愛いプレゼント
森のようちえん訪問の最後には、子どもたちが可愛い歌声をプレゼントしてくれました。
原点回帰 ― 土を肥やす農業で地域に活気を
次に訪れたのは、デンマーク最大のオーガニック農園である「クヌセンルン農園」です。
農園内にあるレストランで、オーガニックのおいしいランチに舌鼓。

食後に、農園4代目オーナーのスザナ・ホウマン・シモンセンさんから、オーガニック農園にかける思いを伺いました。
“私が農園を継いだ2006年には、農業は活気のない世界になっていました。どうやって農業を盛り立てていこうかと考えた時、都市と地方が断絶してしまったことも疑問に思いましたし、大量生産・大量消費のやり方が本当に良いのかということも疑問でした。そして、自然をうまく利用しながらやっていくはずの農業が自然を破壊するような農業になっていくのは、これで良いはずがないと思っていました”

ロラン島で生まれ育ったスザナさんですが、大学入学から都会に出て国際ビジネスを学び、日用品を扱う会社に勤めました。そして、趣味の時間には芸術の歴史を学ぶため大学に戻りました。また、オークションハウスのバイヤーも経験するなどの職歴を経て、その後、農園を引き継ぐこととなりました。
父親から農園を継いだスザナさんは大量生産・大量消費というシステム自体を変えるとともに、農業地域に活気を取り戻し、若者の働く場所をつくりたいと、経営学の視点を持ちながら、オーガニックの取り組み、農園レストランの開設、そして、デザインにもこだわった商品開発など新しい試みを進めていきました。

内装から商品まで細部のデザインにもこだわったオーガニック農園レストラン
スザナさんの試みは功を奏し、農園はデンマーク国内で最大の規模に成長。年間5万人もの観光客が訪れるまでになりました。一度も農業から離れたことがない方とは、ちょっと違う視点から業界を見ることがで きたこと。それが、今の成功につながったのだろうと、スザナさんは語ります。

この農園風景を求めて、国内外から観光客が集まってきている
自然環境を良くする農業、地域を活性化する農業、そして、人を元気にしてくれる農業を目指して、ロラン島と日本の「食と農業のコラボレーション」に、期待が膨らみます。

クヌセンルン農園にてスザンナさんを囲んで。これから始まる日本とデンマークのコラボレーションの展開に胸を膨らませて
一人ひとりが違っているのは当たり前
3日目の視察先は、デンマークの義務教育「フォルケスコーレ」。
デンマークでは、6歳から15歳までの9年間が義務教育です。また、5歳には学校に慣れるための0年生も準備されています。
ツアー視察で訪問したのは「スナスコーレ ホイビュ校」でした。
さて、校舎に入っていくと、廊下にもドアにも、子どもたちが学ぶべき歴史や数式などがアートのように描かれていて、目にも楽しく、遊びながら学びを深められる工夫がたくさん散りばめられていました。

パニレ・ステファンセン先生から、フォルケスコーレの教育方針などについて、お話を伺いました。
ITを活用した先進的な授業、いろいろな障害があるような子どもたちも一緒の教室で学ぶというスタイル等々、ここでは、デンマークの民主主義の基本を育んでいるという教育の話に、参加者からの質問は止まりません。

授業中におもちゃを持っている子どもの姿も許されるほど自由な空気
中学2年生までは学校に試験がないというデンマークの教育。そして、子ども一人ひとりに教育カルテがあるのだといいます。
本当に小さい頃から「将来の理想像は?」「幸せって何?」「そのために今やるべきことは?」と問いかけていく、対話を重視した授業。
「世界一幸せな国」と呼ばれるデンマークの秘訣が、この“対話の文化”の中にあるのではないか、そんなことを考えさせられます。
いじめも不登校もないというフォルケスコーレの視察は、日本の子どもたちのために今私たちができることを、とても考えさせてくれる良い機会となりました。
エネルギー自給率は600パーセント
今回のロラン島ツアーでは、環境対策に関わる視察も盛りだくさんでした。
人口約6万3千人というロラン島。島の面積は沖縄本島とほぼ等しいといいます。
エネルギー自給率600パーセントのロラン島では、洋上を含んで約500基の巨大風車があり、残った電力はコペンハーゲンなどに売電されています。
ゴウゴウと羽を鳴らす風の音。真下から見上げる風車は想像をはるかに超える巨大さで、参加者全員が思わず驚嘆の声を漏らしていました。

4日目には、農業廃棄物である藁を利用最多再生エネルギー施設やリサイクルセンター、ヴィジュアル気候センターの見学と、「ミスター・エネルギー」と呼ばれているロラン市議会議員のレオ・クリステンセンさんから、デンマークのエネルギー対策の歴史とこれから、廃棄物を利用した発電と熱の再利用について、レクチャーが行われました。

ヴィジュアル気候センターにて、レオ・クリステンセンさんから聞く環境政策
ロラン島では、バイオマス発電やゴミ発電、熱電併給(CHP)などの取り組みも行われています。
「熱もリサイクルしてあげないと、リサイクル率は上がりません」—都市計画の段階から、発電によって発生する熱エネルギーの再利用まで配慮されているという話には、これから私たちが進むべき未来の姿を想起させられました。

農業廃棄物の藁を利用した発電所
リサイクルセンターでは、不要となったものを搬入する人の動線に合わせたレイアウトが施され、廃物を収集している場所でありながら、とても清潔な施設に、ため息をつく参加者も見受けられました。

人の動線に合わせ、効率的にレイアウトされたリサイクルセンターのコンテナの数々
最後の視察先となったのは、ヴィジュアル気候センターでした。
センターには世界で100個もないという巨大な地球儀(SOS ;Science On a Sphere)があり、NASAの研究所に集まるデータを、地球儀上に映し出すことができます。
例えば、100年後、北極の氷が溶けてしまったら、海面はどのくらい上昇してしまうのか、東日本大震災の時の津波は、どんなふうに世界を巻き込んでいったのか、福島第一原発事故由来の放射性セシウムは、世界にどんなふうに拡散されていったのか等々、地球の過去・現在・未来の予測を、目で見て体感できるのです。

この地球儀を民間施設で持っているのは、世界でもロラン島と宮城県東松島市の2つだとか。
環境を学び、ガイアと共生する社会のづくりのため、この地球儀をどんなふうに活用していったらよいのかと、参加者たちのアイデアもどんどん膨らんでいきました。
終わりに
環境・教育・農業と、とにかく毎日、大きな気づきと学びの連続。
とても5日間とは思えない充実したコンテンツに、参加者全員が感動の日々でした。
毎日のふりかえりワークでは、一人ひとりがその日感銘を受けた言葉や情景を発表し合い、それを日本に戻ってどんなアクションにつなげていけるのかを語り合いました。
テーマごとの詳細なレポートは、2018年1月に創刊する「風のタウマゼイン」に順次、掲載していきます。

ロラン島スタディツアー特別タスクフォースチーム
総括;早川大悟(はやかわだいご)
編集;森山佳代(もりやまかよ)
構成;森山佳代(もりやまかよ)、千葉光生(ちばみつお)
ルポ・ライティング;中西百合(なかにしゆり)
デザイン;馬場柚香里(ばばゆかり)
コーディング;早川大悟
フォト;馬場柚香里、中西百合、ガイア都市創造塾事務局

ガイア都市創造塾 Web マガジン
『 風のタウマゼイン 』Press Staff
